7月中旬のドイツのアチコチの町で、麗しい、甘い香りのリンデンの花盛りに出会いました。
ドイツにはリンデン通りが多く、リンデンバウム〔リンデンの木〕の街路樹が多くみられます。花盛りの今年は、道路がベタベタとするほど、リンデンの花蜜がこぼれ、歩きづらいほど。しかし、花の香りで癒され、暑かったドイツも、その木陰でホッとするのです。
花や葉は、お茶となり、風邪の季節には欠かせません。
中世には、市壁に囲まれた町には、東西南北に市門があり、そこには、このリンデンバウムが木陰を作り、噴水もありました。遠くから来た旅人が休めるところ。又、リンデンバウムの下では、恋人たちが愛を語るところになっていたそうです。
愛の木ですね
その頃は、外はうっそうとした森であるため、市門からは、出なくても生活がなり立っていました。
市門から出て森で薬草を積み、治療を施していた女性は「薬草魔女」と呼ばれ、お産婆さんや治療家として信頼されていたのです。
12世紀の修道女、聖ヒルデガルトはリンデンの根から発して、葉の中にも広がっている、強い温の力について記しています。
「リンデンには強い温があり、この温は根にあるものです。それが上昇して枝や葉へと広がります。痛風の人は、リンデンの根のまわりの土を取って、それを火に投じて熱し、その上に水を注いで蒸気浴しなさい。9日間続ければ、痛風が治癒します」
古代のギリシアでは、アフロディーテの木と呼ばれ、ゲルマン人の神聖な愛の木でした。
今日では、マリアの大地の力のシンボルと崇拝されています。ゲルマン人は、この光の樹を守護神Freyaと崇めてきました。
Freyaは、聖母マリアの化身といわれています。(キリスト教への改宗)・・パラケルススの[Die Kraeuterkunde des Paracelsusu]
下の写真は、ベルリンから電車で1時間、ポーランド国境あたりにある、ノイツェレ修道院。リンデンバウムに覆われていました。